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善玉頭痛(機能性頭痛)

 善玉頭痛とは慢性反復性頭痛で、頭痛持ちの頭痛です。正式には機能性頭痛といい、偏頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛の三つからなります。
日常臨床でみる頭痛は、偏頭痛と緊張型頭痛の混ざった混合型頭痛タイプが6〜7割を占めます。
肩こりは、薬物療法の立場からは筋緊張性頭痛として扱われていることが多く、そのため青書的には肩こり単独では区分されていないことが多いとされています。緊張型頭痛の病態や発症機序は、未だ不明です。

1. 緊張型頭痛
 筋緊張型頭痛では、頭蓋骨の周囲をとりまく筋群の持続的な緊張が出現し、通常肩こりを伴い、ひどくなると上背部の筋肉痛(左右の肩胛骨の間)や吐き気・目まいを伴います。
緊張型頭痛は、頭痛の原因の半分を占めます。どちらかというと中高年女性に多めで、遺伝性はありません。
偏頭痛が急に起こるのに対して、緊張型頭痛は、いつとは無しに始まりだらだらと続きます。後頭部から首筋にかけての重圧感があり、はちまきをしているような・帽子をかぶっているようなと表現されます。肩こりや目の疲れ・体のだるさやふわふわしてめまいを伴っていることが多いといわれます。

 心理的なストレス・身体的過労・上肢の過度の使用・目 耳 鼻 あご 歯の病気などで生じます。
入れ歯の不調があると、頭の周りの筋肉も緊張して頭痛が起こります。最近、顎関節症は頭痛の原因として特に注目されています。
飲酒はよい影響、運動・入浴で改善します。

2. 偏頭痛
 偏頭痛といっても、4割は頭の両脇が痛みます。ずきずきするこめかみの脈を打つ痛みが特徴とされますが、ひどくなると持続性の痛みとなります。
頭痛以外の症状として、吐き気や嘔吐・光や音に過敏・閃輝暗点(偏頭痛の特徴で、ギザギザの閃光が拡大して目が見えなくなる現象)が現れることがあります。
小児から発症しますが、20〜40代女性に多いとされます。

3. 群発頭痛
 中年男性に多く、男性の方が女性の5倍とされ、珍しい部類の頭痛で、全体の0.5パーセントです。
いったん起こり始めると、1,2ヶ月の間毎日のように、1,2時間片方の目のあたりにもだえ苦しむような激しい頭痛が起こります。
三叉神経痛も顔面に突然の激痛が現れる点はよく似ていますが、痛みの持続時間が神経痛は数10秒であるのに対して、群発頭痛は1時間程度と長い点が異なります。三叉神経痛は神経の痛みですが、群発頭痛は血管の炎症による痛みです。
群発期は、飲酒により発作が頻発します。よってこの期間は、飲酒は避けます。
頭痛以外の症状として、流涙・目が赤くなる・鼻漏鼻閉・発汗があります。

4. その他、アイスクリーム頭痛などがあります。

偏頭痛の対策

 偏頭痛を起こりにくくする工夫をします。万が一発作が起こってしまったら、暗い静かな部屋で横になり、アイスノンなどで、痛むところを冷却し、睡眠をとります。
手元に鎮痛薬がなければ、コーヒー・緑茶を飲用します。これらの飲料に含まれるカフェインが偏頭痛を抑制します。

  偏頭痛に対する具体的なヒント
1. 食事の量
頭痛は、空腹時に起こることが多い。血糖値が低下すると、頭痛が起こる。朝食を抜くと、頭痛の原因となる。
2. 食事内容
偏頭痛の誘因となる飲食物(アルコール・熟成チーズ・大量のチョコレートなど)は、回避する。
3. アルコール
血管拡張作用のあるアルコールは、偏頭痛を誘発する。その含有物も頭痛の原因となる。赤ワインがもっとも偏頭痛を起こしやすく、蒸留酒は起こしにくいとされる。

4. 寝過ぎ・寝不足
寝過ぎも寝不足も偏頭痛の原因となる。朝頭痛で目が覚める場合は、前日のカフェインのとりすぎ・前夜の飲酒・空腹・寝過ぎなどの因子が考えられる。
5. 外出・ショッピング
騒音・香水のにおい・日光などの影響から偏頭痛が誘発される。
6. サングラス
日光は、偏頭痛の原因となる。その場合は、赤系のサングラスをかけるとよい。青系は、かえって偏頭痛を誘発する。

7. 旅行
旅行は、種々の誘発因子が重なって偏頭痛を誘発する。
8. 入浴
暖まると血管が拡張されて偏頭痛が起こる場合は、シャワーですませる。
9. 医師の元で薬の選択や服用方法の指導を受け、偏頭痛予防薬を処方してもらう。

緊張型頭痛の鍼灸治療

 緊張型頭痛は、我が国頭痛患者の中で最も多く、特に鍼灸治療の対象になりやすい症状です。基本的に、頚肩こりの治療がすなわち緊張型頭痛を治すことになります。
頚肩のこりがあると、二時的に三叉神経が刺激されて血管の炎症、つまり偏頭痛が起こります。緊張型頭痛のはずの偏頭痛というのが日本人には非常に多いといわれます。だから、緊張型頭痛の治療は偏頭痛の予防にもなります。
偏頭痛や群発頭痛の鍼灸治療は、主に発作期よりも緩解期における予防効果を目的とした治療が中心です。

1. 緊張型頭痛の鍼灸治療方法
 緊張型頭痛の発症機序は、頭部の筋群よりも後頚部や肩甲上部・肩甲間部の筋群の過緊張が重要な役割を果たしています。そこで鍼灸治療は、こうした筋群の過緊張を緩和し、循環動態を正常化することを目的に行います。
後頚部では、僧帽筋や頭板棘筋部の天柱・風池
胸鎖乳突筋や頭板状筋の停止部の完骨
肩甲上部では、僧帽筋上部線維上の肩井、肩甲間部では、各筋が交差する膏肓
また、側頚部の板状筋部や肩甲挙筋部
肩甲骨内上角部(肩甲挙筋停止部)を治療部位として選択します。
 患者の体力や体調、症状の程度により刺激量を調整します。

2. 偏頭痛の鍼灸治療方法
 頭痛が最も発症しやすい側頭部の 頷厭・懸顱・懸リ・頭維・三叉神経を目的とした上眼窩裂部や下関
人迎(頚動脈洞刺)等が局所の治療部位としてあげられていますが、局所は慎重な対応が求められ、使用するとは限りません。
 また無難な方法として、、手足の指間穴である太衝と合谷をセットで使うこともあります。指間穴は、疼痛閾値(痛みの感じやすさで、痛みを感じる最小の刺激レベルの程度。疼痛閾値が高いほど痛みを感じにくい)を上げるという発表もあります。用いる経穴(ツボ)は、施術者の主義や好みにより違うようです。
私は、陽陵泉・太衝・臨泣などを使います。頭が痛いときは、足背部の指間に圧痛が出ることが多く、そこを刺激すると頭痛が治まることを経験することがあります。頭痛のときに上の方をいじると、悪化することがありますが、足の方ではそういうことはありません。
局所の治療穴はどの治療者も大差はありませんが、遠隔部のツボは施術者によってかなり違います。この点が、東洋医学の主観的なところだと思います。
さらに、患者の合併する愁訴や疲労を軽減し、全身状態を良好に保持することも重要です。

肩こりに対する筋ストレッチング

 緊張型頭痛・肩こりに対する体操法は、副作用が少ない点やコストの点から推奨されています。
 スタティックストレッチングは、安全であり、筋肉痛の予防とその回復に効果があります。
伸張反射を起こさず、反動を使わずリラックスした状態で、ある一定の時間(たとえば15〜30秒)姿勢を維持し、伸展させる方法です。
肩こりの治療法としては、作業後や就寝前に行う方法として最も有効であると考えられます。

 バリスティックストレッチングは、柔軟体操やラジオ体操として行われている方法で、反動を付けたストレッチングのことです。適切に行えば柔軟性を向上させますが、予期せぬ大きな力が筋肉や腱に働くことがあり、コントロールできない力が働くと、筋肉や腱は損傷を受ける可能性が大きくなります。
またそのとき生体は、防御反射として伸張反射により筋収縮を起こします。この伸張反射によって伸ばそうとする筋肉が逆に収縮することになり、これをさらに伸ばすには、いっそう強い力で引き延ばす必要があり、筋肉を傷つけてしまう恐れがあります。
実施するに当たり十分な注意を払いコントロールすれば、肩こりに対するストレッチングとしてもっとも一般的に行える方法です。

参考文献 : 「肩こりの基礎と鍼主義療法の実際」講習会資料
       医道の日本2000年11月号

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