1. 外傷性関節軟部組織損傷
膝のスポーツ外傷により起こることが多く、単独で損傷する場合と複合して損傷する場合とがあります。
a. 半月盤損傷
方向転換時や、ジャンプの着地に片足に体重がかかって捻ったとき等に発症します。
b. 靭帯損傷
内側側副靭帯損傷・前十字靭帯損傷の順に発生頻度が高いといわれます。
2. 関節症
a. 変形性膝関節症
b. 神経病性関節症
3. 炎症性疾患
a. 慢性関節リウマチ(ra)
b. 偽痛風
4. スポーツ障害
スポーツ障害には「スポーツによる外傷」と、繰り返しの使いすぎ症候群である「スポーツ障害」があります。下記二つは、スポーツ障害の代表です。
a. ランナー膝
長距離ランニングによって発生した使いすぎによる膝の障害はランナー膝とよばれ、その疾患には膝蓋軟骨軟化症・腸脛靭帯炎・鵞足炎があります。
b. ジャンパー膝
バレーボールなどでジャンプするスポーツ選手に多発するのがジャンパー膝と呼ばれ、使いすぎ症候群の典型例です。
5. 骨軟部腫瘍
6. その他の疾患
45〜80歳・中高年の膝関節痛のもっとも多い原因です。
変形性膝関節症はその原因によって1時性と2時性に分けられます。いずれも背景として加齢的変化はありますが、1次性関節症は発祥原因の不明な発祥に対する誇称です。
2次性関節症は、明らかな原因を背景として続発発祥するものを指します。
性別ではほぼ4対1の割合で女性の方が多く発祥します。また、肥満体型の人に多く観られるのも特徴の一つです。
病気の発症は、関節軟骨にかかる負担が持続的に続くことによって起こります。
患者の80%近くは1時勢の変形性膝関節症です。1時勢の変形性膝関節症では、その主因と考えられている膝関節の軟骨の変化は40歳代から始まり、50歳代を過ぎると膝痛を中心とした症状の発祥が起こってきます。
症状の第1は膝関節の痛みです。初期には関節のこわばり程度ですが、初発症状として動作を開始するときの疼痛が特徴です。
本症の膝痛の特徴は、運動時痛です。ごく初期には痛みの部位ははっきりせず、膝周囲の筋肉のこわばり・膝窩部や膝前面部の漠然とした不快感等を訴えることが多いようです。一般に病態の進行に伴って痛みの部位は次第にハッキリしてきます。階段の登り下り・とくに下りるときに関節の痛みを感じたりもします。
疼痛はいったん出現してもそのまま持続するわけではなく、無症状となることが少なくなく、軽快したり増悪したりをくり返して次第に悪化し、進行すると安静時にも疼痛を生じるようになります。
関節痛の次に発祥するのが可動域制限であり、これは関節周囲組織の硬縮によるもので、進行すれば関節の変形による可動域制限が加わります。次第に関節周囲筋の萎縮が認められるようになります。
膝を完全に伸ばせない・完全に曲げられない等の運動制限が発症します。
進行期には、内反変形(o脚)あるいは外反変形(x脚)が観られますが、体重は主に膝の内側部にかかるため内側の関節軟骨は早く損傷し、圧倒的に内反変形(o脚)を来すことの方が多いことになります。
関節の炎症が強いときは、関節内に水がたまる関節内水腫が観られることがあります。
膝痛で鍼灸の治療対照としてもっとも多い患者は変形性膝関節症です。高齢者で膝に痛みがあり、正座ができない・膝が伸びない・等の膝関節の症状を訴える患者は、まず変形性膝関節症を疑ってよいと思われます。
変形性膝関節症の治療の基本は、根気よく保存療法を行い、本症発症の要因を可及的に除去することです。肥満体型の人には、体重の減量をアドバイスします。
鍼治療は、膝関節の痛みを取り除くことがまず第1の目的となります。大腿部内側をはじめ鵞足を中心に、大腿部前面後面・下腿部後面など、膝周辺の筋肉の緊張緩和を目的に膝関節の周囲に留置鍼し、遠赤外線で加温します。
また、膝関節の炎症を抑え関節内の水腫を抑制することを目的に膝蓋骨上方の大腿前面部に治療点を求めますが、これは灸治療の方が効果的であるといわれる治療者もおられます。
膝関節痛を起こすと大腿部の前面の大腿4頭筋を中心とした筋肉の衰えが著明になり、膝関節を支持する働きが低下を来します。この筋肉の衰えはますます膝関節に負担をかけ、痛みを助長させることになります。
痛みの監理として鍼治療を、膝関節の支持力を高めるためには運動療法をそれぞれ併用する方法は、変形性膝関節症に対する保存療法として有効な治療法です。
しかし、誤った時期や運動療法・やりすぎはかえって悪化させるので自己流は避けてください。
鍼治療は、膝関節そのものの痛みの治療を行いますが、運動療法によって発症する筋肉の疲労や筋肉痛などの症状をも併せて治療することができます。
参考文献 : 医道の日本1999年9月号