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 消化器症状と鍼灸

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 消化器症状と鍼灸


はじめに

 機能性消化管障害とは、内視鏡検査などで異常が見つからないのに、胸やけ・胃もたれ・便秘などの症状で悩まされる病気のことです。主に消化管の運動機能が悪くなることが原因といわれています。
機能性消化管障害には、「機能性胃腸症」の他に「非びらん性胃食道逆流症」や「過敏性腸症候群」などがあります。

 最近、首の筋肉の異常で起きる頚筋症候群(頚性神経筋症候群)、いわゆる「首こり病」が注目されています。
首の筋肉の異常は、頸椎の中心にある副交感神経の異常を招きます。副交感神経は、内臓や血管、呼吸器などをコントロールする、もっとも重要な神経のひとつです。そのため、「首こり」が体の不調をもたらしてしまいます。
緊張型頭痛頸性めまい のみならず、 自律神経失調症 ・機能性消化管障害などにも大きく関わってきます。すべて別ページで開きます。

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逆流性食道炎・非びらん性食道逆流症

 胃内容物の逆流によって不快な症状が誘発され、また合併症を起こす病態を胃食道逆流症(GERD)と言います。
逆流性食道炎はこのGERDの一部で、内視鏡検査所見にて食道に発赤や糜爛(びらん)などの粘膜障害を認めるものを指します。
これに対して、粘膜障害を認めないが胸やけ症状を訴える非びらん性食道逆流症(NERD)があります。
食道由来の症状として、胸やけ・呑酸(どんさん;酸っぱい液体が口まで上がってくる)・逆流性胸痛などがあり、食道外症状として咳嗽(がいそう;一般的には、せきという)・喘息・喉頭炎などがあげられます。

 治療として生活習慣の改善が重要であり、具体的には
1. 高脂肪食・高浸透圧食(甘いもの)・柑橘類などの酸性食品、香辛料・炭酸飲料・アルコールなどの摂取を避けること。
2. 過食をしないこと。
3. 就寝前に食事をしないこと。
4. 食後に前屈姿勢や横にならないことなどです。

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機能性胃腸症

 機能性胃腸症(FD)とは、器質的疾患を認めないにもかかわらず食後膨満感・早期満腹感・心窩部痛・みぞおちの焼ける感じ(心窩部灼熱感;しんかぶしゃくねつかん)が少なくとも6ヶ月以上前からあり、最近3ヶ月間は継続した症候を示す症候群です。
その他にも嘔気や嘔吐、げっぷなどの症状を訴える場合もあります。

 従来このような症例は、慣例的に慢性胃炎などと呼ばれてきました。しかし近年では、胃炎とはヘリコバクターピロリ菌の感染や非ステロイド性抗炎症薬、自己免疫疾患などにより胃粘膜に炎症のある場合を呼ぶに限られてきています。
つまり胃炎は、上記の器質的な原因により発症し、その原因の除去で症状は改善しますが、機能性胃腸症は器質的な原因がなく、あくまでも消化管の機能異常に基づく病態であり、有効な治療方法が現状では確立されていないという点が大きな違いです。

 機能性胃腸症を自覚症状からタイプ別に
1. 運動不全系
 早期満腹感や上腹部膨満感、食欲不振や悪心・嘔吐などの症状。
2. 潰瘍症状系
 夜間疼痛や周期性不快感、上腹部痛や空腹時疼痛などの症状。
3. 非特異系
 鬱症状や、各種不定愁訴(全身倦怠感や肩こり・頭痛・下肢冷感など)を訴えるもの。
に分けられます。

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過敏性腸症候群

 過敏性腸症候群(IBS)とは、器質的疾患がなく大腸を中心とした腸管の機能異常により慢性の腹痛や便通異常を来す症候群です。
男女比は1対2と女性に多く、半数が35歳以前に発症しています。
便通異常のタイプによって、下痢型・便秘型・交代型に分けられますが、下痢型では男性が女性より約2倍多く、便秘型では80%以上が女性であり、交代型では男女半数とされています。
現代医学でも、薬物療法・心理療法など多方面からのアプローチが試みられているようですが、高度の精神障害を伴う場合は、鍼灸治療の効果は期待できません。

 東洋医学から診たIBSでは、ストレスや情緒の問題は肝鬱と言って肝の作用と考えていますが、肝に障害が起きたわけではなくて、その前に何らかの体質的な基盤があります。
圧倒的に脾・胃の虚弱の症候が前面に出ています。脾・胃の虚弱の人の中にストレスが加わって初めて症状が出てきます。
ちなみに、現代医学でいう肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓と、東洋医学でいう肝・心・脾・肺・腎は、概念も働きも同じではありません。

 IBSの患者は様々な刺激に対して過敏であり、腸管も刺激に対して過敏に反応することが解っています。
難渋する便通傷害の中にIBSが含まれている可能性がありますが、鍼灸治療は便通異常に対する腸管運動の調整と、様々な身体症状に対する症状の軽減を目的に行います。

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鍼灸に期待される効果

 胃腸運動について一般論として言えることは、中カン(臍と胸骨体下縁との中央)など体幹部への刺激は、胃腸の蠕動運動を抑制することが知られています。
中カンは胃疾患の代表穴で、横隔膜疾患や肝臓・胆嚢・膵臓の調節穴でもあります。
腹部の天枢や腰部の大腸兪などのツボは、便通異常で便秘や下痢を繰り返す症状に適用します。

 手足の足三里・衝陽・合谷へのツボ刺激は胃腸運動を高めることが知られており、足三里は、消化器系症状の特効穴とされています。
嘔気・食欲不振・慢性病・虚弱体質・健康維持をはじめ、幅広く用いられています。
「消化器系疾患のみならず多くの病に用いる基礎的な処置として、背臥位で脛骨と前脛骨筋の境で筋緊張が強い部位を2,3点選んで極浅く刺鍼すると、これだけで胃がすーっとしてくる人も多いが、刺激が強いと胃のむかつきが出ることがあるので軟らかく行う。」
と述べられている治療家もおられることから、膝から下の刺激が胃腸に影響する大きさが推測されます。
鍼灸刺激には両方向性の作用があり、実際の治療には腰腹部と手足のツボを併用することが普通です。

 背中の圧痛反応も重要で、肝兪・胆兪・脾兪は、各臓器の反射穴です。胃の六ッ灸は慢性胃炎に対してよく用いる方法で、第7~11胸椎の間で反応点に取ります。
通常のツボではなく奇穴(きけつ)と呼ばれるものに、華佗夾脊穴(かだきょうせきけつ)があり、棘突起間の傍ら5分で、各兪穴の急性症状に効果があります。
鍼灸治療では、教科書的なツボの位置ではなく、実際に反応の出ている所に刺鍼します。

 現代医学的理由は定かではありませんが、手の内関穴は嘔気・嘔吐の特効穴とされており、急性の胃痛や嘔気・嘔吐などに使用されます。
また、鍼灸刺激による胃酸分泌抑制効果や精神安定によるストレス緩和効果が知られています。
すなわち、消化性潰瘍患者において、中かん・陽陵泉・太衝への刺鍼により、潰瘍症状型への治療法が示唆されます。
過敏性腸症候群(IBS)では腹部の圧痛点があり、臍中四辺穴(へその上下左右1寸)のどれかが、または4つとも反応している場合が多く治療点ともなります。

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