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 50肩の鍼灸治療

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 50肩の鍼灸治療


50肩の治療方針

 治療の目的は疼痛と拘縮を抑制し、肩関節機能を回復することです。緩解に至るまでの期間をできるだけ短縮することに治療の主眼があります。
50肩を局所の病気とだけ考えずに、長年の疲労の蓄積などを背景として発症している可能性も考慮して治療を行います。

1. 疼痛性筋性痙縮期の治療方針
 主に疼痛の軽減と拘縮の予防を目的に治療を行います。急性期では、鍼治療により疼痛を増悪させる可能性もあるので、症状により刺激をコントロールしなければなりません。
痛みが非常に強い場合局所への鍼の治療本数を絞り、肩局所への鍼の深さも圧痛が表在的であれば浅く刺激するにとどめます。
目安として、夜間痛や自発痛があるうちは弱刺激を行い、それらが消失し運動時の痛みだけとなった時点から比較的強い刺激を行うようにします。

2. 筋性拘縮期の治療方針
 拘縮を改善する目的で運動療法を中心とした可動域改善訓練が主体になりますが、鍼治療を併用することの意義は大きいと思われます。運動療法前後の疼痛コントロールや、肩甲帯筋および体幹部の筋に生じる緊張や不快感の軽減に有効です。

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50肩に対する鍼治療法

1. 疼痛性筋性痙縮期の治療
 棘上筋腱・上腕2頭筋長頭腱・腱板疎部などの異常を起こしていると思われる筋腱に対して、15分程度の置鍼を行います。

a. 肩峰下腔の障害
 腱板を構成している筋群、特に棘上筋や棘下筋に対して刺鍼し、腱板機能を改善させます。
ツボでいうと、棘上筋は秉風や巨骨付近で、指を強く押し込むと僧帽筋の下で走行の異なる堅い筋繊維として触れることができます。
肩甲棘上縁の中央付近で最も圧痛の強い部位あるいは肩関節の中心へ響きが得られる部位を刺鍼ポイントとし、棘上窩へ向けて直刺あるいは斜刺で2~3cm刺入します。

 棘下筋は天宗付近が刺鍼ポイントになりますが、棘下筋は面積も広く圧痛部位も様々であるためより症状部位の近くへ響きの得られるポイントを探します。
刺鍼は棘下窩へ向けて直刺または斜刺で2~3cm刺入します。

b. 上腕2頭筋長頭腱の障害
 上腕2頭筋長頭や結節間溝へ刺鍼します。上腕2頭筋長頭は、ツボでいう侠白付近から筋腹へ刺鍼します。

 肩局所以外の治療部委では、上肢(特に肘外側周囲や手背)にかけての痛みを訴えられることも多いことから、これらの部位への治療も行います。
これらの痛みは肩からの関連痛の場合もありますが、肩の運動量の低下に伴う循環障害や、肘・前腕の不自然な過用に伴う手根伸筋群の障害の併発なども考えておかなければなりません。

 夜間痛に対する治療法としては、肩貞・臑愈付近の圧痛部位や3角筋の停止部に大きな硬結がある場合施術を行います。
肩の体操は、かえって肩の損傷につながることがあるため、無理に可動域を広げるような体操は避け、肩・肘・手指などの庶関節を軽く動かすだけの自動運動にとどめます。
今日がよいからといって明日もよいとは限らず、ちょっとした天候・過労・体調の変化でも痛みは左右されやすく、小幅な痛みの増減を繰り返すものです。
肩の保温(加温ではない)と就寝時の患側上位、肩の内線位は夜間痛の軽減に対する最も大切なアドバイスです。

2. 筋性拘縮期の治療
 この時期の治療目標としては
a. 短縮した筋の改善や癒着を剥離する。
b. 上腕骨頭のスムーズな動きを取り戻す。
c. 疼痛軽減に伴う運動量の増加による頚肩上肢の筋疲労を改善する。
などを当面の目標として、外転域100度以上の改善を目指します。

 徐々に刺激量を多くし、責任部位と思われる深さまで刺入し、時には強めの手技鍼を試みます。
また、腋窩部(わきのした)の触診で亢進した筋緊張が触れる場合は、積極的に腋窩部からの治療を加えていくのも有用です。
疼痛が著明に改善する時期ですが、50肩の罹病期間の長短を最も左右する時期でもあることから、再燃や尖炎化が起こらないように治療の継続をします。
痛みが軽減してくると、積極的に運動を進めます。特に肩の外転動作の改善を目指して、鍼治療後や入浴後などは、外転動作を中心とした体操をしてもらいます。

3. 緩解期の治療
 治療の目的や方法は前期とほぼ同じで、加えてよりスムーズな動作(合目的運動)が行えるように、諸筋の協同運動の改善と後ろ手回しや外旋制限の改善を念頭に置いた治療を積極的に進めます。
合目的運動に対するアプローチの応用としては、運動鍼なども本疾患では用いられることが多く、安静時の圧痛部位よりも最終可動域で生じる疼痛部位を刺鍼ポイントとしたほうがより直後効果を得られやすいようです。

 運動痛を感じる姿位にしばらく静止させ、痛みを感じる部分を患者に指示してもらい、その部へ刺鍼するという方法や、運動鍼(肩関節から少し離れた圧痛部に浅く刺入したまま運動してもらう)なども行います。
他動的にリズミカルに上肢の挙上や内外旋運動を繰り返します。

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東洋医学から見た50肩の治療

 肩関節にはいろいろな病気がありますが、病名が何であっても東洋医学的には治療の仕方は同じです。これを異病同治といいます。
先遠刺・後近刺(先に遠くのツボを刺し、後に患部の近くを刺す)の治療原則があります。

 方法はいろいろありますが、治療に際しては肩の障害場所を走行する経絡(なになに経というツボのライン)を利用する方法もあります。
経絡を利用する例としては、結帯動作(肩関節伸展・肩関節内旋し、腕を後ろに回す動作)では、肩関節前面から上肢の前面に痛みを訴えます。肺経と大腸経の異常として、その経絡上にあるツボに刺鍼します。
肩の局所穴は、現代医学的な鍼と大差はありません。

 手の遠隔部のツボとしては
1. 前方の肩関節痛の治療(肺経)
 尺沢あるいは沢上穴(尺沢の上1~2寸)。沢上穴は肺経上にある奇穴で、肩の内側前方の痛みに速効があります。
2. 外方の肩関節痛の治療(大腸経)
 曲池または手三里に刺鍼します。
3. 後方の肩関節痛の治療(三焦経)
 外関に刺鍼し、肩関節の運動をしてもらいます。

4. 肩関節後下方から背部にかけての痛み(小腸経)
 後谿に刺鍼します。局所は、肩痛点(肩胛骨外縁の上下の中点で、一段と強い圧痛がある奇穴)・肩貞・天宗に刺鍼します。肩痛点は、肩が痛くて腕が上がらないときによく効きます。
奇穴(きけつ)あるいは阿是穴(あぜけつ)といわれるツボは、通常のツボ以外の場所にある圧痛点で、速効があります。

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おわりに

 治療経過を左右する最大の要因は、その疾患の病態にあります。病態を無視した病名治療や、同質同量のパターン治療を元にして出された有効率は、意味をなさないことが多いと考えられます。

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