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 股関節痛の鍼治療

はじめに

変形性股関節症

股関節部痛の鍼治療法

筋肉別鍼治療部位

経筋治療

キーワード

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 股関節痛の鍼治療


はじめに

 膝痛・腰痛の患者さんは鍼灸院によく訪れますが、その痛みの原因が股関節にある例が屡々見られます。
股関節痛の原因を大別すると、関節内(股関節唇損傷など)、関節外(腸腰筋腱炎など)、類似疾患(恥骨結合炎など)の三つに分類されます。
現代医学では、股関節疾患は年齢・性別・現病歴・理学所見および疼痛の特徴が異なるため、医療機関において十分な診察・検査により鑑別することが可能と言われます。

 股関節の構造は寛骨臼(かんこつきゅう)を関節窩、大腿骨骨頭を関節頭とした球関節で、強靱な靭帯により補強されているので容易に脱臼しません。
さらに股関節は臀部の筋肉(大殿筋・中殿筋・小殿筋・梨状筋・腸腰筋など)によって支えられ、可動範囲は広くいろいろな方向(屈曲・伸転・内転・外転・内旋・外旋)に動かすことが可能となっています。
股関節を支えているこれらの筋肉のバランスが悪くなると、疼痛が発生するのではないかと言われています。

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変形性股関節症

 変形性股関節症は、1. 非炎症性であること。
2. 関節軟骨の変性があること。
3. 周囲の骨と滑膜組織(関節包の内面を覆う膜)に変化が生じて股関節の変形が惹起されること。
などが一般的な概念です。

 原因が特定できない股関節症のことを一次性変形性股関節症と言い、原疾患(他の股関節疾患)があり、それにより引き起こされた股関節症のことを二次性変形性股関節症と言います。
、日本では二次性が多く、原疾患として先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全に原因するものが変形性股関節症全体の8割程度であると報告されています。二次性が多いことから既往歴など病歴の問診が必要です。

 初期は動作の初めに強い痛みを覚え、動作中は軽快するのが一般的です。症状の進行とともに痛みは持続的になり、歩行も休息をとらないと不可能になります。次第に夜間痛も覚えるようになり、睡眠も傷害されます。
トレンデレンブルグ徴候を伴った間欠跛行が特徴的で、歩行時に患肢に体重をかけたときに、臀部を落とすような歩行になります。疼痛は鼠蹊部(そけいぶ;足の付け根)や大腿前面に認め、時として膝周囲に疼痛を訴えることもあります。
股関節の運動に関与する筋肉は、l3神経根の支配を受けるものが多く、よってl3デルマトーム(皮膚知覚帯;1つの脊髄根の感覚神経線維が支配している区域)に関連した部位の疼痛を自覚します。

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股関節部痛の鍼治療法

 鍼治療は、股関節周囲の軟部組織の循環改善による股関節運動に関係する筋肉の過緊張緩和と、関節拘縮の改善予防を目的として行います。
股関節周囲の疼痛に対する鍼灸治療は、股関節の動きに関係する筋肉を対象とした局所治療で、痛みの原因が股関節にあっても周囲の筋肉への治療効果が関節へ波及することを期待した方法です。

 大腿骨頭の周辺のツボである維道・居リョウ・環跳などに刺鍼します。圧痛硬結は深部にあるので患側上の側臥位で股関節を深く屈し、股関節横紋の外端、大転子の前上方陥凹部に長鍼で直刺します。
上前腸骨棘(腸骨の上部前方を指し、腰の両サイドに手を添えると触れる事の出来る骨の突起部分)と大転子(大腿骨上部の外側に突き出ている大きな突起)を結ぶ線上の中央に取穴します。

 大腿骨頭周辺には阿是穴(あぜけつ;正規のツボ以外の圧痛反応で、患者が「あっ そこ」という圧痛硬結)を見つけることができ、そこにも刺鍼します。
股関節部痛の場合は治療によって痛みは軽減しますが、痛みを訴える部位はほかの部位に転々と移動する傾向があり、そのつど阿是穴に刺鍼すると次第に股関節部痛は軽減していきます。

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筋肉別鍼治療部位

 筋肉を対象とした治療に用いる基本穴(ツボ)は、中殿筋や大腿筋膜張筋を対象としては
居リョウ(きょりょう;上前腸骨棘の下際の内方約5分)
環跳(かんちょう;側臥して股関節を深く屈し、股関節横紋の外端、大転子の前上方陥凹部)
症状が大腿前面に及ぶときは、髀関(ひかん;上前腸骨棘の下方で縫工筋と大腿筋膜張筋の間の陥凹部。殿溝(臀部の下縁を横走する皮膚の溝)の高さで上前腸骨棘から垂直に下ろしたところ)

 腸腰筋や恥骨筋を対象としては、衝門(しょうもん;鼠径溝中の大腿動脈拍動部、鼠径靭帯のほぼ中央)
梨状筋は、臀圧(でんあつ;上後腸骨棘と大転子を結ぶ線の中央。)
中殿筋は、外胞肓(がいほうこう;上後腸骨棘と臀圧を底辺とした正三角形を外上方に描き、その頂点。)
また必要に応じて、伏兎・風市や、陰廉(長内転筋)から対象となる筋肉を治療します。

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経筋治療

 東洋医学固有の治療法には、循経取穴法あるいは経筋治療などほかにもいろいろあります。私にはなじめませんが、時に驚くほどの効果を示すことがあるようです。
症状のある部位や罹患筋上を走行する経絡(経絡とは東洋医学独特の概念で、体の各部をくまなく流れる体内エネルギー(気・血・津液)の通路であり、体表のツボとツボを結んだ線でもあります)上の手足の末端の経穴にごく浅く刺鍼します。

 股関節の動きに密接に関係している中殿筋や大腿筋膜張筋は上殿神経支配で、これらは経絡の走行では足の少陽胆経の流注と一致します。
足臨泣や足竅陰など足背の第4~第5中足骨間のツボは、罹患筋に対して体制自律神経反射を惹起するものと考えられます。

 股関節前面の痛みは足の陽明胃経が関連することが多く、内庭・陥谷など足背の第2~第3中足指節関節の前後の陥凹部
また、稀に股関節内側の痛みは足の厥陰肝経が関与している場合があり、行間・太衝など足背の第1~第2中足骨間に圧痛が出ることがあります。
股関節後面の運動時痛は足の太陽膀胱経が関連しており、京骨・束骨など足背の第5中足骨外側の過敏点が効果的です。

 これらの経穴(ツボ)は、性格に触知すると痛みで飛び上がるぐらい過敏になっていることが多く、圧痛がなければほかの部位を探します。
圧痛点に円皮鍼(絆創膏に1mm程度の鍼が付いている)を貼付します。

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キーワード

 股関節唇 : 線維軟骨と密な結合組織よりなり、臼蓋の外縁に付着することにより関節面の表面積と臼蓋の深さを増大させて関節内の適合性向上に関与しています。また、関節内を密封することにより関節液を閉じ込め、加重を均一に分散しています。
よって関節唇損傷が生じると、これらの機能が破綻するため関節の安定性が低下し、変形性股関節症へと進行する一因になると考えられています。
股関節唇損傷は、股関節痛・鼠径部痛の原因として近年認知されてきた比較的新しい概念です。

 経筋病 : 経筋学は、東洋医学の筋肉関節学に相当します。東洋医学では、鍼灸治療を行うには経絡の存在が基本になっています。
経絡の中でも経脈は主に人体を縦に走る12のラインであり、そのとき病んだ経脈上の経穴(ツボ)に刺鍼すると症状は軽減します。
一方、経絡の中には経筋という縦に走る12の筋肉のラインも存在します。それぞれの12経筋が傷害されると、筋肉に痛みや痙攣が起こってきます。圧痛部位には硬結があります。これを経筋病巣と呼んでいます。

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