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 更年期障害

更年期障害の概念

更年期障害の症状

現代医学による診断と治療

東洋医学から観た更年期障害

肝気鬱滞(肝気鬱結)

鍼灸治療

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 更年期障害


更年期障害の概念

 更年期障害は、更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群とされており、本来単一の症候群ではありません。
すなわち、加齢に伴う卵巣機能の低下が視床下部 → 下垂体の神経活動に変化をもたらし、自律神経失調症状を始め、気分変調や内分泌系・免疫系の失調症状を来します。

 一方、この時期における環境や人間関係の変化は、心理的ストレスとなって抑鬱や不安などの精神神経症状の原因になります。さらにこの時期にはその他の加齢現象も加わり、精神身体機能の低下が始まります。
更年期障害とは、このような様々な原因で起こる様々な変調の総称であり、その意味で一般の疾患概念とは趣を異にします。

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更年期障害の症状

 更年期障害の症状は多岐にわたりますが、その主なものは
1. 自律神経失調症状
2. 精神症状
3. その他の症状
の3つにまとめられます。

 自律神経失調症状の多くは卵巣機能の低下(エストロゲンの低下)に起因していると考えられ、中でも急な熱感(ホットフラッシュ)・のぼせ・発汗・ 冷え性 などの血管運動神経症状が典型的です。以下リンクは、いずれも別ページで開きます。
精神症状では、いらいらや怒りっぽくなるなどの情緒不安定の症状、気分の落ち込み・意欲の低下などの抑鬱症状、不安感などが多いとされます。
そのほかには、関節痛・手のこわばりなど運動器の症状、乾燥感や湿疹などの皮膚症状、排尿障害や性交障害など泌尿生殖器の症状などがあります。

 かーすー病は、自律神経失調症・更年期障害の時に起こりやすい症状で、かーっと発作的に顔面や上半身に熱感が起こり、発汗します。
数分後には、発汗のためにすーっと冷えてきます。このために、カーすー病といわれました。現代医学でいうほっとフラッシュ(急に起こってくる顔面紅潮発作)のことです。

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現代医学による診断と治療

 更年期障害として扱ってよいかどうかの診断は、患者が更年期にあることの確認、更年期にある程度特有の不定愁訴であることの確認、さらに器質的疾患の除外によって行われます。
更年期であることは、年齢や月経の状態で推測し、血中ホルモン濃度の測定で確認します。
更年期に特有の不定愁訴であることを確認するためには、いくつかの更年期指数が考案されています。また、器質的疾患の除外を確実にしておくことは重要です。
精神障害との鑑別が難しい場合、心療内科などへの受診が必要です。

 更年期障害の現代医学的治療は、薬物療法と精神療法に2大別されます。内分泌学的要因を背景とする症状には、ホルモン補充療法(HRT)が奏効するそうですが、乳癌をはじめとするリスクが過去に米国で報告されました。
しかし、治験を受けた女性たちのリスク要因が多いなど、治験結果の問題点も指摘されています。

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東洋医学から観た更年期障害

 更年期障害は、急に起こる上せ感・顔面紅潮と発汗などの特有な症状があり、女性の閉経前後によく観られます。
症状は多様性にとんでおり、 自律神経失調症 とそれに 悪血(おけつ) と腎虚が強く関与したものと思われます。

 心身一如(しんしんいちにょ)といわれるように、心と体はお互いに強く影響し合っています。精神的な葛藤(かっとう)が体のどこかに異常として現れるので、最近では身体反応性精神障害という言葉が使われるようになってきました。
ある病気に伴った一過性の鬱状態もその一つで、たとえば 慢性疲労 症候群・更年期障害・マタニティーブルー(出産後に起こる産褥期鬱病)などです。
鬱状態が二次的に起こっている場合は、基礎にある原因疾患を直すと精神状態も正常に回復していきます。

 精神的な不調を緩和させるには、特有の特殊な治療方法があるのではなく、患者が苦痛に思う体の諸処の症状を鍼灸治療で取っていけば、自然に精神的な不調も消失していく傾向があります。
しかし、鍼には適応と限界があり、適応は軽症例です。重症例は、婦人科や心療内科に委ねるのが賢明です。

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肝気鬱滞(肝気鬱結)

 感情の変化は、五臓に影響します。私には納得いきませんが、感情にも種類があるので東洋医学ではその性質によって影響する臓が異なると考えられています。いずれの感情もそれが度を過ぎると所属する臓を傷めるといっています。
五臓が病むと、精神異状が現れます。精神的異常は現代医学では脳に原因があると考えられていますが、東洋医学では五臓に異常を来した結果精神異状が招じると認識しています。

 鬱状態は悩みや想いが鬱積したもので、三陰(肝・脾・腎)が塞がれて通らず気が滞ると考えています。そのため、刺鍼により体の異常(気血の鬱滞)を治療して体の矛盾が解決されれば、その他の副次的矛盾(精神的な不調)もすべて解決するとしています。現代社会では、この中でも最も肝を傷める傾向があります。

 精神の病気を脳や神経からではなく、五臓から治そうとするのが東洋医学です。“疎泄”とは溜め込まないことなので、疎泄が悪いと鬱病のほかにも 機能性便秘 ・肥満・ニキビ・肝臓病・月経不順・乳腺腫・・・など、溜め込んで流れが止まったために出る病気がいろいろ発生します。
精神的異常は、体の異常となって現れますが、しばしば後頸部や背部の傍脊柱筋に圧痛硬結を作ります。この状態が経筋病です。また全身状態として、全身倦怠感などを伴いやすいです。

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鍼灸治療

 疏泄(そせつ)には、情緒を安定させ、精神状態を快適に保つことです。この肝の疏泄作用を正常にしてやると、精神的過緊張がとれ、気の鬱滞を解消することができます。肝気鬱滞は、自律神経系の過緊張が主な原因と考えられます。鍼灸治療は

1. 後頸部と背部の筋肉の異常を直すこと。
 筋肉の連続した緊張は筋肉の硬直(筋肉が持続的に収縮しかたくなること)をよびおこし、圧痛硬結になります。
後頸部の筋肉の異常としては、僧帽筋と胸鎖乳突筋に異常が現れやすいので、これらの筋肉の圧痛硬結に直接刺鍼します。
経脈としては、主に督脈上(背骨の棘突起間)に圧痛があれば、その高さの左右の夾脊穴(その外方5部)に刺鍼するとともに、傍脊柱筋の圧痛硬結に刺鍼します。
その他の経穴(ツボ)としては、膀胱経の天柱・膏肓・心兪・膈兪
胆経の頷厭・完骨・風池・肩井などに異常を認めることが多いです。

2. 精神安定作用があるといわれる経穴を取穴します。
 ダン中・百会・四神聡穴・安眠穴・完骨・神門・内関などから適宜選んで取穴します。
このツボに鍼したら効くというのではなく、複数のツボの相乗効果(そうじょうこうか)ではないかと私は思っています。

3. 悪血が鬱状態の原因になっている時もあります。
 悪血の存在は、更年期障害やマタニティーブルーの原因になります。マタニティーブルーなどでは、下腹部の悪血が原因で気滞になり、そこから鬱状態になるので、悪血を取りさることが必要です。

 上せと下肢の冷えを直すには、下腹部や腰部の悪血の過敏点を探し、ここに刺鍼すると、自然に解消していきます。
上せに対しては、居リョウを用います。側臥位で左右交代に居リョウ穴に 15分ずつしっかり響かせた後留置鍼します。
上前腸骨棘という骨の出っ張りと大転子の上端との中間に当たる陥没したところで、強くおくまで押すと圧痛があります。
ここは股関節が屈曲する部位なので、血流を妨げやすい場所で悪血にもなりやすい部位でもあります。だから居リョウ穴への刺鍼は、悪血の改善にもなると考えられます。

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