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 精神的ストレスと筋緊張

経筋病とは

東洋医学から観た線維筋痛症の原因と発生のメカニズム

現代医学から観た線維筋痛症(FM)

線維筋痛症に対する鍼灸治療の可能性

経筋病の一般的治療法

補足

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 精神的ストレスと筋緊張


経筋病とは

 経筋学は、東洋医学の筋肉関節学に相当します。東洋医学では、鍼灸治療を行うには経絡の存在が基本になっています。
経絡の中でも経脈は主に人体を縦に走る12のラインであり、そのとき病んだ経脈上の経穴(ツボ)に刺鍼すると症状は軽減します。
一方、経絡の中には経筋という縦に走る12の筋肉のラインも存在します。それぞれの12経筋が傷害されると、筋肉に痛みや痙攣が起こってきます。圧痛部位には硬結があります。これを経筋病巣と呼んでいます。

 精神的ストレスが、内蔵には胃潰瘍や過敏性大腸症などの消化器疾患や高血圧などの循環器疾患に大きく関与することはよく知られています。精神的緊張は特に後頚部や背部の筋肉の緊張を呼び起こし、圧痛硬結(経筋病巣)を作ります。
慢性疲労症候群と線維筋痛症は、ともに経筋病です。慢性疲労症候群(CFS)は体のだるさが表面に出ているのに対し、線維筋痛症(FM)では筋肉痛が強いところに違いがあります。

 経筋が病んだときの最大の特徴は、筋肉や関節部委の疼痛や筋肉の機能障害です。しかし、経筋が病むとそのほかの特殊な症状も現れます。
経筋の特殊な症状は、まず経筋病を形成する経筋病巣に生じ、次いでその病巣部の刺激が痙攣性筋性病変へと二次的に進展し、えたいの解らない病気(疑難病)を発症します。
筋肉の広範囲にわたる攣縮は、全身の高度の疲労感・それに伴うめまいと頭痛・精神的異常などの症状を引き起こします。このように、体の硬直感と精神的な異常感を伴うことが多いといわれます。

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東洋医学から観た線維筋痛症の原因と発生のメカニズム

1. 筋肉関節痛は経筋病です。
 精神的ストレスは、東洋医学の臓腑学では肝の機能に関係し、また肝は筋肉と深い関係があると考えられています。この筋肉の緊張状態が長く続くと、気血の流れが傷害されて筋肉に圧痛硬結を作るようになります。
経筋病巣ができると、痛みが現れます。その理由は、経筋病巣のために経脈の流れが阻害されて、気血の通じが悪くなるからです。
このような緊張による経筋病巣の好発部位は、後頚部・肩胛骨周囲・胸鎖乳突筋・咬筋・側頭筋等の筋肉です。それが次第に背部・腰部・上肢の筋肉へと波及していきます。

2. 精神的異常は肝気鬱結から起こります。
 肝気鬱結により血管運動神経系の失調が続くと悪血を生じます。全身倦怠感は、気虚です。肝気鬱結がさらに長く続くと次第に体力は減退し、気虚が起こってきます。心が病むと体が病む、これはまさに「心身一如」です。
気虚とは、陽気の不足で機能低下・抵抗力の衰弱・元気の不足が特徴です。一般的な症状は、元気がない・疲れやすい・無気力・疲労感・いきぎれ・食欲不振等です。

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現代医学から観た線維筋痛症(FM)

 線維筋痛症は全身広範囲に疼痛が出現し、時には激痛のあまり著しく qol(生活の質)が低下することがあります。従来結合織炎という病名が使われていましたが、疼痛部委に炎症所見がないことから線維筋痛症という病名になりました。
症状は、大きく分けて二つの群に分かれます。4肢および体幹の疼痛からなる筋骨格系症状と、筋骨格外症状です。
筋骨格症状は整形外科的な症状です。4肢あるいは体幹痛以外の疼痛では、頭痛・顔面痛なども随伴して訴えることがあります。
筋骨格外症状では、内科的な症状のほか精神症状・耳鼻咽喉科的症状・眼科的症状・消化器症状・婦人科症状・泌尿器科症状・リウマチ症状などがあります。

 診断の分類基準は、二つの項目から成り立っています。まず一つめは、全身広範囲の疼痛、2番目の項目は、特徴的な圧痛点です。
線維筋痛症は、生命に関わる病気ではなく身体障害者になることもない良性の疾患ともいわれていますが、初期の不充分な対応により症状が増悪するともいわれます。
 筋骨格症状では、症状が長く続いている場合・あるいは変動が大きい場合・また疼痛が移動する場合・また疼痛症状が広範囲で神経学的な理論に合わない症状が続いている場合は線維筋痛症を考えなければなりません。
問診では疼痛箇所の問診のみではなく、筋骨格外症状がないかを聞き出す努力をします。

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線維筋痛症に対する鍼灸治療の可能性

 東洋医学的には、線維筋痛症は精神的な緊張が筋肉の緊張を呼び起こして、それが筋肉・関節に圧痛硬結を生じ、さらにそれが精神的な苦痛を誘発するという悪循環を繰り返しています。
現代医学でも東洋医学でも非常に難治ですが、東洋医学では経筋病の1種と考えられ、経筋療法により治療します。

 線維筋痛症の診断で最も重要な所見は、圧痛点の存在です。全身の各部位に圧痛点が18カ所指定されており、そのうち11カ所に4kg以下の圧力で圧痛が認められることが診断基準となっています。
なお、診断基準に選ばれている圧痛部位のほとんどは経穴(ツボ)に置き換えることが可能であることから、経穴の反応としてとらえると理解しやすくなります。

1. 痛みに対する鍼治療
 鍼治療は疼痛閾値を上昇させる作用があることから、圧痛著名な部位に留置鍼します。その効果は、疼痛が軽度な症例ほど高いといわれます。
また罹病期間が長い患者では、鍼による鎮痛効果は一時的であり、痛み以外の愁訴の軽減が観られないと鎮痛効果は得られにくいとされています。

2. 痛み以外の愁訴に対する鍼治療
 筋骨格外症状が存在する場合、東洋医学的な病態把握により選穴した部位へ刺鍼します。痛みが長期間存在しているような慢性患者では、東洋医学的な病態把握による治療を加えることが痛みの軽減にも繋がると思われます。

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経筋病の一般的治療法

 東洋医学では、異なる疾病であっても病因が同じなら同一の治療を施します。これを異病同治といいます。
1. 頚背部の経筋病巣に対して
 後頚部の筋肉の異常としては、僧帽筋と胸鎖乳突筋に異常が現れやすいので直接刺鍼します。そのほか、肩上部や肩胛骨に付着している棘上筋や棘下筋上
背部では、脊柱の棘突起間の傍ら・脊柱起立筋など
手足の圧痛硬結(4肢の伸筋および関節周囲の筋肉腱の付着部位を含む)に刺鍼します。
筋肉関節痛や全身倦怠感は、経筋病巣が改善されると自然によくなります。

2. 肝気鬱結に対して
 東洋医学の肝の機能には、情緒を安定させ、精神状態を快適に保つ作用があります。この肝の作用を正常にしてやると、精神的過緊張がとれ、気の鬱滞を解消することができます。肝気鬱滞は、自律神経系の過緊張が主な原因と考えられます。
肝の通事を良くし、鬱を取り去ること。取穴としては、大椎・期門・太衝・陽陵泉などを用います。

3. 経脈を利用した治療
 経筋病巣がよくできやすい経筋は、足の太陽経筋・足の少陽経筋・手の太陽経筋などの陽経の経筋です。当然、それぞれの経脈の経穴にも異常反応が出やすいことになります。経筋療法と同時に、足三里などの経脈上の経穴にも取穴します
また精神安定の作用のある経穴(ツボ)として知られるダン中・4神宗穴・百会・安眠穴・完骨・神門・内関などから選穴して刺鍼します。
4. 悪血(おけつ)
 悪血が有れば、血海・三陰交・膈兪に刺鍼します。

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