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 パーキンソン病の鍼灸治療

はじめに

パーキンソン病の特徴

鍼灸の可能性

症状別鍼灸治療1

症状別鍼灸治療2

補足

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 パーキンソン病の鍼灸治療


はじめに

 パーキンソン病は、線条体(せんじょうたい;身体の随意運動の調節や姿勢、筋肉の緊張を調整など)でのドーパミン(脳内の神経伝達物質)の濃度が低下することによって、身体を自由に動かすことが難しくなってしまう病気です。
4大症状、安静時振顫(手足がふるえる)、筋固縮(筋肉がこわばって歯車のようなカクカクした抵抗感)、無動(動作緩慢)、姿勢反射障害(バランスがとりづらくなる)などの運動症状が現れます。

 これらを主徴とする慢性進行性の中枢神経疾患で、加えて全身症状や自律神経症状など多彩な症状を示します。
病気の進行に伴い、不安などの精神症状、睡眠障害、自律神経障害、痛みなど様々な症状を呈し、緩徐・進行性の特徴があります。社会の高齢化に伴い増加しています。

 早期に治療を始めるほうが症状の進行を遅らせる効果が高いので、神経内科(または脳神経内科)の受診が薦められます。
日本人も同様かどうかは確認されていませんが、2型糖尿病(遺伝的体質に肥満・運動不足・ストレスなどの要因が加わって発病)の人は、パーキンソン病のリスクが高くなることが注目されています。
パーキンソン病は治らない病気というイメージが強いですが、罹患してもほとんど寿命は変わりません。非常にうまくコントロールすると、パーキンソン病は天寿をまっとうできる疾患です。

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パーキンソン病の特徴

 パーキンソニズム(パーキンソン病と同じような症状を示す病態)には、脳血管性パーキンソニズムと薬剤性パーキンソニズムがあります。
パーキンソン病の患者は、基本的には体幹・股関節・膝関節が屈曲している屈曲姿勢が特徴的です。一方、脳血管性パーキンソニズムでは、屈曲姿勢よりも逆につっぱってしまう伸展姿勢が特徴となります。

 パーキンソン病患者の主訴の約半数は、振顫です。その振顫がどのような場合に起こるかということです。パーキンソン病の振顫は、4~6Hzの比較的ゆっくりとした振顫で、安静時に起こります(安静時振顫)。
一方、安静時には振顫は起こらずむしろなにか動作をするときに起こる震え(動作時振顫)はパーキンソン病らしくなく、ほかの疾患による振顫を考慮する必要があります。

 パーキンソン病の主訴で振顫の次に多いのが、歩行障害と動作緩慢(無動)です。
パーキンソン病の筋強剛(きんきょうごう;筋固縮ともいう)は歯車現象といわれ、他動的に関節を動かしたときにカクカクとした抵抗を感じます。
上肢であれば、前腕の回内・回外と手関節の屈伸を他動的に行って動きがスムーズかどうか、あるいはカクカクとした抵抗を感じるかどうかを観ます。
曲げ伸ばしで同じ抵抗を感じるが、それがカクカクではなく一様な抵抗を感じる場合は、パーキンソン病の可能性もなくはありませんが、薬剤性や脳血管性のパーキンソニズムを念頭に置く必要があります。

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鍼灸の可能性

 基本的には、パーキンソン病は交感神経優位なので、副交感神経を優位にさせる鍼灸治療と頭皮鍼の併用が中心になります。
鍼灸治療も副交感神経優位の治療をしなければなりません。その方法は、浅刺(皮膚より4mmまで)、呼気時(息を吐いたとき)、座位で、という臨床研究もあります。
「治療後三日ぐらいまでしか効かず、徐々に鍼治療の効果は減弱する」という訴えが患者から多いという指摘もあります。
パーキンソン病が鍼灸治療で治るわけではありませんが、自律神経症状や痛みなど随伴症状を軽減させることにより、生活の質を向上させるのに役立つと考えられます。

 鍼灸院で長く治療しない方がよいケースは
1. 幻覚(精神症状)が出てきた場合
2. 認知症が進行してきた場合
3. MSA (多系統萎縮症;たけいとういしゅくしょう) → 代表的な神経変性疾患の1つ。
こうした場合は、当然西洋医学に委ねた方がよいです。

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症状別鍼灸治療1

 全身的な配穴に加えて、症状に対する特異的な治療を組み合わせて行います。
1. 歩行障害
 パーキンソン病に観られる歩行障害には、歩幅の狭くなる小刻み歩行、1歩目が出しにくい歩行開始困難やすくみ足、歩行の制御ができにくくなる突進現象などがあります。
腰背部の筋緊張の緩和や下肢の筋機能の改善により、一時的ではありますが歩行困難が改善する可能性はあると考えられます。両側の下腿・大腿・背部の著明な硬結部に留置鍼すると筋緊張が緩和します。

 大腿部から下腿部の筋強剛の軽減を目的としては、両側の大腿部前面や外側および前脛骨筋上や脛骨内側縁の骨際(風市・伏兎・血海・梁丘・足三里・陰陵泉・三陰交など)。
腰背部の筋緊張・筋強剛の軽減を目的としては、実際にはツボにこだわらず圧痛硬結を目標に両側の(膈兪・肝兪・脾兪・腎兪・志室など)。
以上の経穴(ツボ)に5~15mm刺入して留置鍼10分間行います。

2. 睡眠障害
 パーキンソン病患者に観られる睡眠障害の病態には、無動による睡眠中の寝返りの減少や筋固縮による強ばり感によって睡眠が妨げられる場合や、夜間頻尿や浅眠時の振顫による睡眠の断片化、抑鬱の発症に伴う睡眠障害等々が報告されています。
睡眠障害は、パーキンソン病患者にとって頻度の高い症状であり、QOL (生活の質などと訳され、人間らしく満足して生活しているかを評価する概念)をいちじるしく傷害する原因ともなり、鍼灸治療の効果が得られればその治療価値は高いと考えられます。

 以下リンクは、いずれも別ページで開きます。 不眠症 の治療のポイントは、完骨や安眠穴をはじめ、後頚部の緊張を緩めることです。
一方、背腰部では、至陽・膈兪・肩胛骨内縁の膏肓などの経穴(つぼ)の硬結部に15分程度留置鍼して遠赤外線で加温すると、気持ちが良くなって眠る人もおられます。
つまり全身調整ということで、過緊張緩和を目的に治療を行います。しかし、随伴症状が多いので、刺鍼部位は厳選する必要があります。

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症状別鍼灸治療2

3. 便秘
 パーキンソン病患者における 機能性便秘 の発症率は非情に高く自律神経症状の一つですが、加えてパーキンソン病患者には身体運動量の低下、食物や水分摂取量の減少、腹筋の筋力低下、抗パーキンソン病薬の副作用など多彩な要因で発症すると考えられています。

 合谷や上巨虚などの手足への刺鍼は、腸管運動を行進させることが知られています。下肢のツボの足三里・上巨虚・下巨虚にかけて軽く触診し、細い鍼で浅く刺鍼します。
体幹部では、腹部の天枢(腹結あるいは大巨)、腰部の大腸兪(便通穴)などが頻用されます。

4. 腰痛
 パーキンソン病患者は体幹が屈曲姿勢なので、よく腰痛を訴えます。この場合、屈曲姿勢が改善しないと腰痛も改善しません。
そこで、腹部を触診して皮膚や筋肉が長期間の体感屈曲姿勢によって短縮している部位に刺鍼し、腹筋の緊張を緩和します。基本的には、 いわゆる腰痛症 と類似の治療をします。

5. 嚥下障害・発声困難
 嚥下障害はパーキンソン病患者にはよく観られる症状で、誤嚥性肺炎の原因ともなります。嚥下障害に対する鍼灸治療方法は、明確ではありません。
また、パーキンソン病患者では声がモノトーンになったり、声がかれたりする発声障害も招じます。嚥下障害や発声困難に対しては、喉頭隆起の上際で舌骨との間などに細い鍼で浅く刺鍼します。

6. レストレスレッグス シンドローム
 「むずむず脚 症候群」とも称され、下肢のむずむずする感覚障害とともに両足をこすったり・伸ばしたり・縮めたりする欲求が強く生じ、これが活動時には軽減し、夜間に増強する症候群です。
積極的な治療法が行われていないのが現状で、下肢の不快な症状を生じる領域(足三里・太白・合陽・承山)などのツボに皮内鍼(水平面に20度くらいの角度で、2mmか3mm刺入し、絆創膏などで固定して、1日から数日留置する)を施し症状の軽減を認めた例も発表されています。

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