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 腹部疾患の治療には、手足や腹部・背部のツボを治療に用います

問診

腹診

経絡と経穴

兪穴と募穴

中焦部の病(心窩部痛)

おわりに

補足

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 腹部疾患の治療には、手足や腹部・背部のツボを治療に用います。


問診

 腹痛においては、問診が重要です。
1. 腹痛の部位
 限局性(げんきょくせい;狭い範囲内に限られていること)か全体性か、移動性か固定性か、放散痛の有無。
2. 性状
 強い痛みか弱い痛みか、疝痛(せんつう;指すような鋭い痛みで、腹膜刺激症状を伴うことが多い)か鈍痛か、腹痛が起こる体位はどうか。
3. 時間
 腹痛がいつから始まったか、食事摂取や排便との関係はどうか、女性では最終月経の開始日と妊娠の可能性。
4. 随伴症状
 嘔気・嘔吐、便秘、下痢、発熱の有無。
5. 既往歴・開腹歴・服薬歴
 潰瘍や尿路結石などの既往、腹痛の副作用を持つ薬剤を服用していないか。
などを確認します。

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腹診

 腹部疾患については、触診が非常に重要な意味を持ちます。
まず触診に当たっては腹壁が緊張していないことが大事であり、そのためには背臥位になって軽く患者に膝を曲げてもらいます。これにより、腹壁の緊張がかなり軽減します。
腹痛は消化器疾患で最も多い主訴であるため、腹痛の原因になっている部位の圧痛の正確な情報を得ることは、腹部の触診で最も重要です。

 まず腹部を9分割法により、上部は左右の悸肋部とまん中の心窩部(みぞおち)。
中央は、左右の側腹部と臍部(へそ)。下部は、左右の鼠径部と恥骨上部に分割されます。
たとえば心窩部の圧痛は、胃・十二指腸疾患や膵臓疾患(ただし膵疾患は、胃・十二指腸疾患の部位よりやや左下方に出る)。
右悸肋部は、胆嚢炎などの胆道疾患。右腸骨窩(回盲部)は、急性虫垂炎などの圧痛点です。

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経絡と経穴

 経絡とは東洋医学独特の概念で、体の各部をくまなく流れる体内エネルギー(気・血・津液)の通路であり、体表のツボとツボを結んだ線でもあります。
経絡は、体を上下に流れる経脈と網目のように枝分かれしている絡脈からなり、これらはひとつの環となり、体内に深く入り臓腑と連絡していて、全身の機能を正常に調節する働きがあります。よって胃経の足三里に刺鍼すると胃腸に影響するというのが東洋医学の考え方です。
ツボには、経脈上の経穴と、経絡上に属さない気穴とがあります。

 人体のバランス調節は実に巧妙で、同じ経穴に刺鍼してもその時の身体の状態により正常化するように働いてくれます。ツボには薬物にはみられない両方向性の効果があるといわれます。
たとえば、おなかの天枢や腰の大腸兪などは下痢にも 機能性便秘 にも効果があります。臨床的には、便秘だけではなく下痢と便秘を繰り返すタイプもあるので、こんな例にも安心して用いることができます。
腹部では臍(へそ)の周りに便秘や下痢のための経穴や奇穴が多く存在します。また大腸疾患は、腰部や仙骨部に反応点が出ることが多いです。

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兪穴と募穴

 胸腹部には募穴(ぼけつ)、背腰部には兪穴(ゆけつ)と呼ばれる専属のツボがあり、その臓腑が病むと最も強く圧痛や硬結などの病的反応が現れます。
臓腑に異常が起こると、背部の兪穴にしこりや痛み・圧痛がその関連痛として現れ、診断の拠り所になり治療点にもなります。
兪穴と募穴は背部と腹部とで相対し、ある臓腑に異変が生じたときは病名は何であれそこに刺鍼や施灸をすると、治療効果が得られます。これを兪募配穴と言います。
腹部疾患の治療には、手足の要穴・腹部や背部のツボを治療に用います。

 腹部反応点と背部治療点の関係を現代医学的にいうと、デルマトーム(皮膚分節 : おのおのの脊髄神経が支配する皮膚領域)で説明されています。
治療は、肋間神経の基本反応点である傍脊柱筋上と腹直筋上で選びます。たとえばつぎのような対応になります。

 背部反応がth5~th9棘突起の高さの傍脊柱筋上に出現(膈兪・肝兪付近)すると、腹部反応は第5~第9肋間神経が腹直筋を支配する部(中カン;臍と胸骨体の下縁との中央)付近に出現します。
心窩部(みぞおち)の圧痛硬結は、th7棘突起の背部兪穴つまり膈兪。
のような前後の対応になります。

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中焦部の病(心窩部痛)

 胃と脾は密接な関係があり、胃経と脾経は胃痛に多用されます。しかし、東洋医学の脾の概念は西洋医学の脾臓とは異なります。
ストレスなど精神面は肝と関係があり、ストレスが胃腸の機能障害を起こすので 機能性消化管障害 の治療には胃に加えて脾・肝も同時に治療します。

 横隔膜神経は c3 c4 からでる脊髄神経であり、本神経興奮ではc3デルマトーム反応として後頸部、c4デルマトーム反応として肩甲上部のコリや痛みが出現します。
胃が悪いと左頸肩のコリ痛みが出やすく、肝臓が悪いと右頸肩のコリ痛みが出やすくなります。逆に頸肩部のコリ痛みに対する施術が横隔膜神経を介して内臓治療に関係してきます。

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おわりに

いわゆる腰痛症膝関節痛 など整形外科的な疾患には、現代医学の機能解剖に基づく鍼がよいと思いますが、慢性の内科的疾患には先人の経験に基づき体全体を見る東洋医学的な鍼灸が効果を発揮することも少なくありません。上記のリンクは、いずれも別ページで開きます。

 ツボは先人が病的状態にある人体を詳細に観察した結果、見いだした体表に現れた知覚過敏点です。下痢にも先人が指摘する経穴に、知覚過敏展を認めるようです。
薬物と比べ効果が不確実で治療の継続が必要なため根気がいることも事実ですが、副作用がないので安心です。しかし、東洋医学の治療は施術者によって用いるツボが違い、これが正しいというものはありません。

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